脳の専門家が書いた奇跡の脳③

奇跡の脳③:ハーバード医学校の神経解剖学者ジル・ボルト・テイラー女史はある日、自らの脳先天性動脈奇形が原因で脳出血を発症してしまいました。
 
彼女自身が、「脳のおしゃべり」と呼称している左脳の言語中枢が障害されたのです。この部分は、いつも自分自身に話しかけています。今日はスーパーで買い物をしなければ。帰ったら洗濯をする日。友達に電話をしなくちゃーなど、たいへん高度な知力の言語中枢野です。

 

アメリカでは、新しい病院を作ると必ずチャプレンを置くことを義務づけています。チャプレンは教会や寺院に属さず、施設や組織ではたらく聖職者のことを言います。

 

総合病院で臨床スピリチュアルケアのカリキュラムを履修してその資格を得ます。スピリチュアルとは、簡潔に表現すれば人間の生きる意味は何なのかを追及する手法です。

 

病院チャプレンは、唯一医療者でない立場で患者さんと接することができます。生きる上での苦しみに(病気の苦しみ、死の恐怖など)直面している人々の心のケアやサポートをするのがチャプレンの仕事です。緩和ケア病棟、腫瘍内科、小児科、救命救急部の一員としてはたらきます。

 

日本では聖路加国際病院の病院チャプレンが知られています。

 

スピリチュアルケアサポートの仕方は、傾聴に主眼を置いています。いろんな方法を使って表面的な話しより、心の悩みや生きる意味に対する叫びや患者さんの抱えている苦しみを明らかにすることです。

 

日本でもようやく、臨床宗教師を育てる民間での動きが始まったばかりです。その意味から考えれば「奇跡の脳の」の著者ジル・ボルト・テイラー女史の本の内容は、わたしたちに客観的な観察の大切さを示してくれています。

 

以下、奇跡の脳より抜粋。

 

26:次のレベルやステップが何なのかを明らかにしてください。そうすると、何に向かって努力しているかがわたしにもわかります。

27:次のレベルに移る前に、今のレベルを十分に達成している必要があることを憶えていてください。

28:小さな成功をすべてたたえてください。それがわたしを勇気づけてくれます。

29:どうか、わたしの文章を途中で捕捉しないでください。あるいは、わたしがみつけられない言葉を埋めないでください。わたしには脳を働かせる必要があるのです。

30:もし古いファイルを見つけられなかったら、必ず新しいファイルを作るのを忘れないでください。

31:実際の行動以上にわたしが理解していることを、わかってもらいたいのです。

32:できないことを嘆くより、できることに焦点を合わせましょう。

33:わたしに以前の生活ぶりを教えてください。前と同じように演奏できないからと言って、もう音楽を楽しんだり、楽器を演奏したりしたくないなんて考えないでください。

34:一部の機能を失ったかわりに、わたしが他の能力を得たことを、忘れないでください。

35:家族、友人たち、やさしい支援者たちと親しい関係を保てるようにしてください。カードや写真を貼り合わせたコラージュ(バラバラの素材を糊づけすること)を作って見せてください。それらに見出しをつければ、わたしはゆっくりみることができます。

36:大勢に助けを求めましょう。「癒しチーム」を作るように頼みましょう。そうすれば、みんなはわたしに愛を伝えてくれます。わたしの病状の最新情報を伝え続けてください。そして、わたしを助けてくれるような特別なことを頼んでみてください。わたしが楽に飲み込んでいるところや、からだを揺り動かして、上半身をおきあがらせるところを見せてあげてください。

37:現在のわたしをそのまま愛して。以前のようなわたしだと思わないで。今では、前と異なる脳を持っているのです。

38:守ってください。でも、進歩を途中で阻まないでください。

39:どのように話したり歩いたり、どんな身ぶりを見せたかを思い出させるために、何かをやっているわたしの古いビデオを見せてください。

40:薬物療法が疲れを感じさせ、それに加えてありのままの自分をどう感じるかを知る能力をぼやけさせていることも、忘れないでください。