ヘルニアと風船の圧迫

1977年カナダの病院である実験が行われました。それは、椎間板ヘルニアの手術が終わって麻酔からさめた患者さんの、ヘルニアで圧迫を受けていた神経根の下にカテーテル(ゴム製の管)を入れ、それをふくらませて疑似的に圧迫を再現したものです。

 

すると、赤くはれていた神経根が再び圧迫を受けたために腰痛やお尻から太ももにかけての坐骨神経痛が起こりました。

 

このときもう一人、正常な健康体の被験者の神経根の下に同じようにカテーテルを入れて風船をふくらませました。すると腰痛や坐骨神経痛は起こりませんでした。ただ、軽度の感覚(しびれなど)異常が出たのみでした。

 

この結果からわかるように、あらかじめ何らかの炎症がある神経根の周囲に同じような押す力が加わると痛覚神経が刺激されて痛みがあらわれるのです。

 

これは、椎間板ヘルニアによる神経根の圧迫=腰痛・坐骨神経痛が起こるという定説がくつがえされた画期的な実験となったのです。

 

炎症の三大兆候として、患部が発赤(赤くなる)・腫脹(むくむ)・熱を持つの症状があらわれます。これらが原因となって、腰の痛みが誘発されます。

 

ところが、患者さんのなかにはヘルニアがあるのに炎症が起こらない方がおられます。これは、長い間に神経が変性して周囲の組織に馴染んでしまったために炎症が起こらない体質に変化していったことが要因と推測されます。

 

したがって、ヘルニアがあるから腰が必ず痛くなるとはかぎらない証左といえます。